レビュー

新海誠監督「天気の子」感想:ネタバレあり

天気の子

天気の子を見て来たので私なりの感想を書いていきます。
ネタバレを含むので注意して下さい。

 

「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、
怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。

引用:公式ホームページ

君の名は。との違い

私は言の葉の庭で新海誠監督の作品が好きになりました。

君の名は。と似ている部分が多いです。

 

また今回の作品には三葉も滝も出ています。
事前に君の名は。を見た方がいいかもしれませんね!

キャラクター

・森嶋帆高(もりしまほだか)

離島を出たいと関東に家出をしてきた16歳の少年。
なぜ家出をしたのか?

 

小さい世界から飛び出して、広い世界に出たかったのかもしれません。
しかしバックグラウンドがはっきりと書かれていないので、曖昧なところではあります。

 

・天野陽菜(あまのひな)

母親が亡くなり弟と2人で生活をしている女の子。
不思議な力があり「晴れ女」である。

 

・須賀圭介(すがけいすけ)

穂高が関東で職がなく行き倒れそうになった時に頼った「怪しいオカルト雑誌」の事務所を経営している男性。

妻は亡くなり、幼い我が子とは離れて暮らしており「大人」として我慢や憤りを隠しながら生きている。

 

・夏美(なつみ)

圭介が経営しているオカルト雑誌のライターである女子大生。

「君が思っている関係だよ?」というが実は圭介の身内。

 

船には帆が必要です。
そして、陽菜は晴れ女の役割があり晴れ=陽をつかさどります。

名前も少し考えてしまいますね!

素晴らしい天気、雨の描写

なんといっても、天気の子は雨や天気の描写が素晴らしい。
雨1つでもこんなに違うのかと思うぐらいでした。

 

なぜ雨の描写が多いかというと関東は毎日、毎日雨が続いていて所謂「異常気象」の状態ですね。

今でも異常気象がありますが、この映画の中では「異常気象」であることが普通の世界なのです。

 

純粋な願い故の引き替えの代償

陽菜は特殊な力を持っています。
空に願えば必ず晴れになる「晴れ女」なのです。

 

陽菜は元々このような不思議な力を持っていたわけではなく、自分の母親が入院して亡くなるまえに、ただ「晴れた空をお母さんと歩きたい」と願い鳥居をくぐったのです。

 

その純粋な願いは受け入れられ、自分が願えば必ず空が答えてくれる晴れ女になった訳ですが代償があります。

 

なぜ純粋な願いなのに代償が必要なのか。

あまりに理不尽に感じるかもしれませんが、異常気象を晴れに願う気持ちは命と同等の想いだったのかもしれませんね。
結果、人柱になってしまったのです。

 

晴れ女として天候を変えると、陽菜の体が空と一体化してしまい、そのうち神隠しの様に空に帰ってしまう。
それが代償なのです。

穂高は何も出来ない子どもな故に変えれる世界がある

穂高は仕事もない、力もない、そんな子どもです。
陽菜のように特殊な力もありません。

 

また、圭介のようにお金があったり子どもがいる訳ではありません。
ただ島を出たいと、ただ願って行き当たりばったりの行動をしてしまう子どもです。
そして謎の銃を拾ってしまい、その銃を使ってしまうところは穂高の弱さを表しているのかもしれません。

 

陽菜はバイトをクビになり弟との生活費に困窮している時に穂高は「晴れ女の仕事をしないか」と持ちかけます。

 

雨が続く異常気象の関東。
仕事はどんどん舞い込みます。
しかし、その願いは「自分勝手な願い」での晴れです。

 

結婚式、競馬、売り上げを気にすることであったり。
それは誰かを幸せにするためではありません。

 

中には「みんなの為に」という願いももちろんあります。
この世の中でも自分勝手な人、人の幸せを願う人。
そういった事を反映しているのかもしれません。

 

それでも陽菜は言います。

 

「私、晴れ女の仕事好きかも」

 

陽菜は今までに見つからなかった「自分の価値」というのを見つけ出したと感じました。
しかし、代償を払ってまで見つける価値というのは、とても重たく思いました。

 

 

異常気象の世の中。
天候に心が動かされ、太陽が出ていたら気分がよくなり雨なら何となく暗くなる。

 

その中で陽菜が晴れを願えば青空が広がり人々が笑顔になります。
それは多くの人たちを笑顔にし、多くの人々の気分を晴れに出来るのです。

 

しかし、この時にも体はどんどん空と一体化していっているのです。

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穂高は補導と家出で捕まってしまうが・・・

色々な背景がありますが、穂高は捜索届が出されており警察に追われてしまいます。
陽菜と穂高は弟と3人で「逃げよう」と決めます。

 

やっと見つけたホテルで、陽菜の体を見ます。
そこには「透き通った体」
空に帰る、人柱になる運命がそこにはあったのです。

 

陽菜は聞きます。「穂高はやっぱり晴れがいい?」

 

眠りにつくとき穂高は願います。
「神様、お願いです。これ以上僕たちに何も足さず、僕たちから何も引かないでください」
しかし神様は引いていくのです。

 

朝目が覚めると、陽菜はいませんでした。
空に戻ったのです。

 

空から落ちてきたのは穂高が渡した指輪です。
陽菜が唯一いたという証。

 

陽菜が空に帰ると、関東の異常期初は収まり夏日になります。
本来の夏に戻ります。

 

警察に捕まっても穂高は陽菜を取り戻そうとして、警察署を抜け出します。
大人は信じようとしないであろう「人柱として晴れ女は天に帰る運命」
陽菜は失踪したと言う形で処理するのが大人です。

 

圭介は言います。

 

「1人の犠牲でみんなが救われるならいいじゃないか」といったような言葉をかけますが、穂高は納得しません。

 

大人として対応してきた圭介も最初は警察に行くように穂高を説得しますが、穂高の「陽菜に会いたい」という強い気持ちに動かされ協力します。

 

圭介も本来であれば、亡くなった奥さんに会いたいし、戻せるなら戻したい。
子どもとも住めるなら住みたい。
しかし・・・と大人の事情で諦めようとしていたのでしょう。

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陽菜と逢えたときの穂高の答え

空の上は「彼岸」

あの世なのですが、穂高は陽菜に逢いたい一心で彼岸に向かいます。

 

そして穂高の答え。

 

「穂高はやっぱり晴れがいい?」

その答えは「晴れより陽菜がいい!」だったのです。

 

強い想いから、無事に陽菜をこちらの世界に連れて帰ってこれた穂高は警察に捕まり3年間保護観察になります。

 

3年後関東と穂高は?

3年前に関わった人たちに穂高は話を聞きに行きます。

 

  • 世界は最初からおかしいんだよ
  • 元に戻っただけ

 

なぜなら、関東はずっと雨が降り続いて町が冠水して電車も船になっていたりと様変わりしている世界を穂高は目にします。

 

穂高は陽菜を選んだ事で世界を変えたのではないかと思っていました。
大人は「何も変わってないよ」と言いますが、納得は出来ないのです。

 

だって、それは穂高が陽菜を選んだから世界が変わったのです。
圭介の言うように1人の犠牲で世界が救えるなら、それでいいじゃないかと思うのが大人かもしれません。
あのまま陽菜を取り戻さなければ、関東は晴れが続いて季節が戻ってきていたかもしれません。

 

自分たちの選択が世界を変えてしまう。
それでも、それでも手に入れたいものがあり、そして願うこともある。
選択するのは自分だからこそ、進んで行ける。

 

穂高にとって世界より大切なものは陽菜だったのですね。
陽菜の存在が穂高の世界を変えたのです。

 

愛という気持ちをくれたのです。

 

「間違いなく、僕らは世界を変えたんだ」と確信に変わり、2人が再会します。

 

世界が変わっても、2人で居れば「大丈夫」
変わらない愛があるから大丈夫。

 

そして、どういう状況でもその中で生き抜いていく。
そんなことが大切なんだと感じました。

 

総合的な感想

今回の「天気の子」はとにかくリアリティ。

 

今の日本を映し出すような描写も多いです。
陽菜がバイトをクビになったときに選んだ仕事は「体を売る仕事」
警察官や大人も「話を聞かない。事なかれ主義」

 

大人の私が映画を見た時「大人なら仕方ないよね」と思う事もありましたが、それが歪んだ世界を作っていて子どもも息苦しいのかもしれませんね。

 

捨てられた銃は、日本がこれから銃世界になっていくかもしれない。
もしくは力のない子どもや大人が自分の身を守るには武器を持たないといけない。

 

陽菜と凪(弟)が2人で生きていく世界では、力が必要なのかもしれない。
それが命を代償にすることであったとしても。

 

そして愛の力の大きさや強さ。
世界を変えてしまえるぐらいの愛を私たち1人1人が持っているということ。

 

そんなことを考えました!

 

さくら
さくら
せひ見に行ってみて下さい!